2014年7月31日木曜日

願い事は?


ナレーター:太平洋を漂流していた男が無人島に流れ着き、砂浜で錆び付いたドロップ缶を拾います。貝殻を使ってこじあけると、中からでてきたのは飴玉ではなく煙でした。

漂流男:(ゴホッゴホッゴホ)おじいさんになっちゃわ…ない。動物の姿になってしまって…ない。なんだ?
(ゴホッゴホッゴホ)素煙か?

ナレーター:素煙ではありません。煙はもくもくと形を変えてなんと江戸っ子が現れます。

江戸っ子:うん!あっーあー!お天とうさんが眩しいったらありゃしねーな。おめえさんかい、おいらを呼び出したのは?さえねー野郎だね。しゃきっとしなさいよ。しゃきっと。えー⁈

漂流男:......えーー⁈こういう時はせめて願いを叶えてくれる魔法使いとか。せめてそーいうのが出てきてくれよぉ〜。

江戸っ子:うん?あ?おめえさん何をいってんだぃ。おいら魔法使いだよ。おめえさんの願い事を3つばかり叶えてやろうじゃないの。遠慮することねぇ。言ってみな!

漂流男:本当かなぁ?江戸っ子の魔法使いとか聞いたことないよ。あっ⁈でもこっからでてきたって事はもしかして本当かなぁ。。そだ‼︎願いを叶えてくれる権利を100回に増やしてくれ!

江戸っ子:はぁ⁈100ぺんだぁ?お前さん寝ぼけた事を言ってんじゃねえよ。一度に願いを100ぺんも叶えるって話があるか!団子と願い事は一度に3つって相場が決まってんだい。気が変わったけぇる!

漂流男:あっ!待って!

江戸っ子:あ?••••••待ってぇ?
がってん承知!「待つ!」
パンッ(手を叩く)
はいぃ‼︎1つめおしまいだい。

漂流男:えー最悪だよぉ。なんなんだい?この魔法使いはぁー。

江戸っ子:ふぅー(キセルを吸う江戸っ子の魔法使い)

漂流男:なんか吸ってるよぉ〜。

江戸っ子:こちとら江戸っ子で一番の気がみじけぇ魔法使いってんだ。宵越しの願い事はきいちゃやらねーよ。

漂流男:わかったよ。願い事するよ。家に帰りたいです。

江戸っ子:がってん承知だぃ。パンッ(手を叩く)

漂流男:おぉ。家だぁー‼︎狭くて汚い見慣れたボロアパートだ!ただいまー!

江戸っ子:さぁ3つ目はどうすんだい?

漂流男:そうだなぁ。失敗したくないなぁ。あの~。願いを叶えてもらえる権利を100回に増やすっていうのは、あれはなしなんですよねぇ〜?

江戸っ子:ちぇっ、けぇーる!

漂流男:あっ!なんちゃって。なんちゃって。へへ。えーと何にしようかなー。あっ!スーパーカーとか。フェラーリ、テスタロッサ、ランボルギーニカウンタックってのにも乗ってみたいなぁ。スーパーカーに乗るのもいいけど、スーパーカーになるってのも面白いかもしれないな。問題は誰が乗るかか?あっ!メジャーリーグの選手になっちゃう?

(ガチャン!)うわぁ。狭いな散らかってるし。あっ!決めた。広くて綺麗なところに引っ越したいです。

江戸っ子:がってん承知だい!パンッ(手を叩く)

漂流男:やったー!うわぁー!!
さっきの無人島だぁ……

ナレーター:この人物をご覧ください。彼は一年に一文字しか話せません。好きな女性に思いを伝えたいのですが、「あいしてる」は5文字もあります。これを伝える為に黙って黙って5年も経ちました。彼女のところへむかいます。いました!

無口男:(はぁはぁはぁ。)
すいません!(あ----)

女性:はい?なにか?

無口男:......(しまった。。)

女性:えっとー。ごめんなさい。ちょっと怖いなぁー。

筋肉男:失礼!私は通りすがり屋の筋肉質で露出多めの鍛冶屋ですが、お嬢さんどうかしましたか?

女性:はい。この方が少しこわいのです。

筋肉男:なんですって!この変態!

女性:助けてくれてありがとう。あっ雨?

筋肉男:さぁお嬢さん。雨宿りにこの馬小屋へはいりましょう。

女性:えー、やだけど。仕方ない。あっあっすごい力。

無口男:……(まってぇー!!)

ナレーター:今彼が伝えたいのは「誤解です。愛してると伝えたかったのです。」しかし、これを伝えるには21年もかかります。例のドロップ缶を拾います。 こじあけると、例のあいつがでてきました。

江戸っ子:うん、なぁー!おてんとうさんが眩しいったらありゃしね~な。おまえさんかい?おいらを呼び出したのは、しょっぺぇ顔してるじゃないかい。何か願い事があればいってくださいよ。あっし魔法使いだよ。

無口男:一年に何文字もしゃべれるようにしてください。

ナレーター:あっ!ちなみにこれを伝えるのに25年もかかってます。

江戸っ子:てめえしゃらくせーな、おい。普通宵越しの願い事はきいてはやらねーんだからな。がってん承知だい!パンッ(手を叩く)

無口男:やった!しゃべり放題だ!

江戸っ子:さっ2つ目はどうすんだい?

無口男:25年前に戻って告白をやりなおしたいです。

江戸っ子:がってん承知だ!パンッ(手を叩く)

ナレーター:江戸っ子の呪文で時間が25年前にさかのぼり、普通にしゃべる事ができる彼はしっかりと彼女に告白。無事に仲良くなったのです。

江戸っ子:さっ!ぼちぼちいいだろ?3つ目の願い事言ってくんな!

無口男:えーでも僕は今の状況に満足してるしな~。

江戸っ子:そういわずに、もう25年とは言わねえよ。じゃあもう10年。少年時代までもどしてやっていいんだぜ。

無口男:えーやだよ。せっかく告白もうまくいったのに。願い事はもう、、、結構です。

江戸っ子:そうはいくけぇ。男がいっぺんだした申し出だ。ひっこめるわけにはいかねーよ。なぁ頼むよ。5年前でもいいんだ。じゃあ5ヶ月前はどうだ?

無口男:いいっていってるだろ。しつこいなぁー。

江戸っ子:じゃあ5週間!えぇ~い。5日!

無口男:わかったよ。願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:がってん承知だい。パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:がってん承知だい!パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:はぁ。がってん承知だい。パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:はぁ。はぁ。がってん承知だい。パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:あれ~?がってん承知だい。パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5秒前に戻してくれ。

江戸っ子:はぁ、はぁ。はぁ。がってん承知だい。パンッ(手を叩く)

無口男:願い事するよ。5…

江戸っ子:まった!まったぁ!はぁ、はぁ。願いを叶えてやるのは100ぺんまでで勘弁してくれ。

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